紀元前480年。500万余の軍勢に、たった300の兵士を率いて立ち向かった男が居た。彼の名はレオニダス。戦闘国家スパルタの王、真の戦人(いくさびと)の長だった… そのレオニダスと300のスパルタ兵を、フランク・ミラーが描いたのが、「300」。 そして、この「300」を、ワーナー・ブラザーズが映画化する、という。 レオニダスを演じるのは…ジェラルド・バトラー。(『RED EYE』プレミアでのインタヴューで言ってた「デカイの」ってのは、多分これのことでしょうね) あーーーーー、もう、あんたって子は!どーしてこうも次から次へと私のヒーローをッ!ベオウルフの時だってのけぞったけど、今度はレオニダスだとぉ!なめとんのかゴラァ!(愛です愛、すんません歪んでます) ええと…気を取り直して。 フランク・ミラーは、最近で言えば『バットマン ビギンズ』の原作という位置付けにある「バットマン:イヤーワン」、また公開間近の『シン・シティ』の原作の同名コミック「シン・シティ」の作者です。彼のその他の作品については下の参考サイトを御覧下さい。 いや、実際、ジェリーのレオニダスは、観たい、というか、似合うと思う。あの、何も考えずに突き進めるところとか、うん、いけると思う。下手に甘ったるい演出になってないといいんだけど。「300」自体は、ヒロイズムを排したところにあるカランとした虚無的な感動、死臭漂う狂気のもたらす興奮、人の手の届かないところにある運命の輪の回転とそれに粛々と殉ずる戦士のいっそ美しいといえる哀しさ、ギリシャ的ではない、どちらかといえば北欧神話エッダ的な姿、そういう捉え方だと思うんだけど、ワーナーブラザーズ…ハリウッドはこれをどう料理するんだろう? またもや、gerrieさんのブログ‘微熱の材料’経由の記事です。 gerrieさん情報サンクスです♪ <参考> ■GerarBbutler.net ■Frank Miller The Complete Works 以下、ペルシャ戦争―テルモピレーの戦い―要約と、感傷 紀元前491年、アケメネス朝ペルシャを率いるダレイオス1世は巨大な軍事力を背景に地中海の都市国家(ポリス)に服従を要求。これに対抗したアテナイへ軍を差し向けるも、陸路はマラトンでアテナイの重装歩兵戦術(ファランクス)に阻まれ、海路も迅速に張り巡らされたアテナイ軍の防衛線に攻めあぐね、撤退を余儀なくされる。 ダレイオスの死後、王位を継いだクセルクス1世は紀元前485年のエジプト平定の勢いに乗り、481年、再びギリシャへの遠征を開始する。ヘロドトスの歴史書に因れば、この時のペルシャ軍の規模は、歩兵170万、騎兵8万、戦車部隊など2万、水軍約51万7千以上、三段櫂船1207隻、その他の戦艦、輸送船3000隻、ヨーロッパ各地からの援軍併せて528万3千以上。これに対するにギリシャ側はテルモピレーの峡谷に防衛線を築き、スパルタ兵300、テスピアイ兵700、テーバイ兵400、その他のポリスからの兵併せて4000がこの地に集結した。 兵力の少なさを嘆くギリシャ側の軍勢に、レオニダスは静かに問う。「おぬしらの生業は何ぞ」。各都市国家からの兵の殆どが、一般の市民であった。曰く「鍛冶屋」「パン屋」「壷売り」と。レオニダスは己の率いる300の兵に向かい、同じ問いを投げかける。無言の、戦人(いくさびと)の矜持と共に、高々と掲げられた300本の槍が、その問いへの応えだった。彼らは戦闘国家スパルタの戦士、スパルタの、レオニダスに従う、300の精鋭兵、戦(いくさ)を生業とする武士(もののふ)ども、なのだ。 レオニダス率いるギリシャ軍は、3日の間、この峡谷の地の利を持ってペルシャ軍を防ぐが、ギリシャ側から出た内通者によってペルシャに抜け道の存在が告げられ、ペルシャ軍は峡谷の背後に迫る。これを知ったレオニダスは、各ポリスからの兵を去らせ、己の手勢とテスピアイ兵のみを残留させる。死を覚悟した防衛戦―玉砕戦であった。スパルタ兵は剣が折れれば己の爪と歯で闘い、300の兵で2万のペルシャ兵を屠ったという。スパルタ兵の戦いのあまりの凄まじさを怖れたクセルクスは殲滅を命じ、豪雨のように降り注ぐ矢の下に、レオニダスと彼に従う兵士たちは玉砕する。 しかしレオニダスのこの戦いにより、撤退の時間を稼いだギリシャ軍は、一旦アテナイを占領されるも、サラミスの海戦でペルシャ軍を破り、結果ペルシャ軍はマケドニアまで退くこととなる。 …学校の歴史の授業で‘テルモピレーの戦い’を習った時、不覚にも落涙してしまったことを思い出します。レオニダスは、私にとってのヒーローのひとりです。 何が突き刺さるって、彼の純粋な、そして過酷なまでの「戦闘意欲」。彼は戦うために生き、戦いに死んだ。そこには同情や甘ったるいヒロイズムは存在しない。獣のように、ひたすらに戦うのみ。戦闘国家の王、戦争のエキスパートである彼が、この戦いに勝機を見ていたわけが無い。最初から、死すべき運命に、彼はまっすぐに顔を上げて突き進んでいった。 己とそれに従う兵の命と、戦争の行く末とを天秤にかけ、最終的に戦に勝てる可能性のある方法を選択する、その冷徹さ。残酷さ。そして聡明さ。 それが是か否かはここでは問いたくない。それが「退かず、屈せず」を国法として掲げるスパルタの王である彼の生き様だった、それだけだ。 彼らの死後に建てられた石碑に刻まれているのはまさに彼らの矜持だ。 「旅人よ 往きてラケダイモンにかく告げよ 我らその言葉に従いて此処に臥すと」 (ラケダイモンはスパルタの別名)
by radwynn
| 2005-08-17 14:35
| Actor
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