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スズメバチ来襲!

我が家の朝は相方の淹れるコーヒーの匂いで始まる。
私はベッドの中でその匂いを嗅ぐのだ。
…っていうとなんか洋画の朝のシーンのようですが、その実、「朝ぐらい独りにさせて。静かな時間を頂戴。」って言うんでね、好きにしてもらってるのよ。
で、もちろん今朝もそうだった、あの瞬間までは。
コーヒーとパンの簡単な朝食(我が家はコンチネンタルなんですよ朝は)を済ませた彼が、洗面所で歯を磨いている時だった、と思われる。
「うぁー!蜂ーーー!」
という絶叫で、私は叩き起こされた。
だが、私は、以前から時々洗面所の換気口から蜂の羽音がするのを知っていた。換気口は鏡の右上部にあり、鏡に向かっていると蜂の羽音が頭の上でするように聞こえるのだ。
だから私は、彼がその羽音を聞いて、蜂が中に居ると勘違いしているのだと思った。
「大丈夫よ、それ、外っ側に居るんだよ」
と、のんびりと階段を降りて行き、洗面所のドアを開けた私が見たものは。
蛍光灯の周りを飛び回り、恐怖に満ちた羽音を振りまく、黒く禍禍しい姿だった。
どうやって!どうやってヤツは換気口の網の目をすり抜けて侵入したというのだ?!
しかし今はその事に関して協議している場合ではなかった。行動が求められているのだ。
幸い洗面所には2方にドアがあり、これを上手く利用すれば地の利は当方に在ると言えた。
階段側のドアからの状況把握及び敵の退却経路封鎖を相方に一任した上で、私は台所側のドアからの攻略を試みることにした。



ロングノズノルのジェット噴射殺虫剤を構え、慎重にドアを開ける。幸い敵は光源に気を取られ、我々の計画には気付いていない。すかさず殺虫剤を噴霧、ジェット噴射のそれは的確に目標を捉えた。
しかし!落ちない!残念ながら我々の所有する武器は敵の特性に合わせたものではなく、いわゆる対コックローチ軍用として開発されたものであったため、一撃でヤツを仕留めるには至らなかったのだ。
我々は再度、攻撃を試みた。まさにホーネット(Hornet:スズメバチ)に向かいRPGを構える歩兵の心情を味わいながら。それは恐怖と緊張以外の何ものでもない。
再三の攻撃の後、やっとホーネットは落ちた。
「ホーネット ダウン!ホーネット ダウン!」「まだ生きてる!まだ生きてる!」
背面から洗面台の上に落ち、けたたましい羽音を響かせながら旋回するヤツを、我々は遠巻きに観察した。一旦は飛び上がろうとしたものの、既にその機動力はほぼ失われ、制圧は簡単に思われた。だが油断してはならない。
新聞紙を丸めた最終兵器を手に、友軍(相方)が目標に近づく。旋回しつつ物陰に移動する目標の動きに、最終兵器発動のタイミングを計るのが至難の業だ。
が、ヤツが歯磨き粉のチューブの下から姿を現した瞬間を狙って、ついに新聞紙が振り下ろされた。
破裂音にも近い音が何度も響き、既にホーネットは襤褸くずのような姿を晒していた。
「やめろ、もう充分だ」「だがまだ動いている!」
確かに、節足がもがくように空を掻いていたが、それも既にかつての恐怖を思い起こさせるものではなかった。
「…終った…」
我々は敵の残骸を処理(新聞紙の先っちょに乗っけて外にポイ)すると、安堵の息をつき、各々の日常へと戻ったのであった。

※作者中:上記の文章は一部フィクションを含みます

…ほんとに怖かったんだよぅ~(泣)
by radwynn | 2005-09-01 14:13 | Diary
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