『鳩の翼』

1997年/イギリス
原題「THE WINGS of THE DOVE」
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監督:イアン・ソフトリー
原作: ヘンリー・ジェイムズ
キャスト:ヘレナ・ボナム・カーター
      ライナス・ローチ
      アリソン・エリオット
      エリザベス・マクガヴァン
      シャーロット・ランプリング
      マイケル・ガンボン
      アレックス・ジェニングス

Asmik Ace Movie Information『鳩の翼』

※微妙にネタバレありかも…。ご注意。

「愛しているわ 貴方を ― 貴方たちを」

これを三角関係と言うのは、余りにも簡単な解釈だろう。
ここには幾重にも重なった「対立」の構造が存在する。
落ちぶれたイギリスの貴族と、隆盛を誇るアメリカの大富豪。それに重なる、既に黄昏の時代に入っているイギリスと、やっと朝日の昇ったばかりのアメリカ。
貴族と庶民。保守と革新。貧困と富裕。束縛と自由。退廃と健全。生と死。
暗く澱んだロンドンと明るく澄んだヴェネツィア。
そして、男と、女。
この相反する、しかし互いに惹かれあい、かつ憎しみ合う二つの事象の織り成す世界に、3、という決して割り切れない数を置いたのは、秀逸だと思う。
3人の人物は、各々が前述した属性を纏いながら、交錯する。
そしてライナス・ローチとヘレナ・ボナム・カーターの演じる2人は、性別さえも超越しているかのようだ。
3人の登場人物の中で唯一アリソン・エリオットの演じたミリーだけが、聖母のように確固たる女性として存在しつづける。ミリーを頂点に置いて、ヘレナ・ボナム・カーター演じるケイトとライナス・ローチ演じるマーチンはそれぞれの性の枠を少しずつはみ出しながら、互いに、そしてミリーを、愛しているのだ。ミリーも2人を愛した。各々を、そして「ケイトとマーチン」という存在を。
ミリーとケイト、ケイトとマーチンの関係に同性愛の微かな香りを嗅ぎつけるのは困難なことではない。むしろそのメタファはヴェネツィアのマスカレードの夜の扮装にはっきりと象徴されていると思うのだ。
ヘレナ・ボナム・カーターの‘強さ’とライナス・ローチの‘繊細さ’が、この映画には何よりも必要だったのだろう、と、私は見終わって感じた。
それが無ければ、ラストシーンに納得がいかない、後味の悪いものになってしまっただろう。
前述のAsmik Ace Movie Informationでは「鳩の翼」をヒロインの象徴、としているが、私は最後に‘鳩の翼’を纏ったのは、マーチンだった、と思う。…マーチンがヒロインだったと言うなら頷けるのだが?

…しっかし声エロいなぁ、ライナス・ローチ…
若いし綺麗だし。
ライナスさんを観るのにどれがいいですか、って言われたら、とりあえずコレかなあ。
私は殆ど逆打ちみたいなもんだったんですが。(『司祭』→『ジャスティス』→『リディック』→『フォーガットン』→『バットマン ビギンズ』→『鳩の翼』)
あ、クライヴたんとジョリー姐さんと共演した『すべては愛のために』、観てないや。
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by radwynn | 2005-09-11 22:12 | Movie-rental-
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