マイノリティ・リポートのLOST IN TRANSLATION

マイノリティ・リポートのダニー・ウィットワーを演じたコリン・ファレル、これは演出なのかそれとも彼自身が早口なのか、凄い量の台詞を喋ってるんですよね(笑)。まあ、脚本にあるんだろうから、そういうキャラクター、ということなんでしょうが。
で、その台詞が聞き取りたくて、英語字幕で観賞しててふと気が付いたんですが、原文の内容と日本語字幕がかなーり違う?というか、??なところがある…と思ったらやっぱり、戸棚津子女史(仮名)だったんですね。
ストーリィ上の大事な伏線をすっとばす、ってのは、あっちこっちでやってはるんですね、戸棚先生…
いや、あのダニーの大量の台詞を、字数制限のある字幕におこすのは、それは大変だと思うんです、思うんですが、それは…いいの?ってとこがちょっと。
なので、拙い英語力を総動員してみました、『マイノリティ・リポート』における‘LOST IN TRANSLATION’(翻訳によって失われるもの)。
一番気になったシーンだけ。



シーンは‘聖域’(原文ではtemple)=プリコグのプールで、システムの仕組みについて説明を受けた後の、ダニーとジョンの会話です。
「」内に、私なりの字幕訳を作ってみました。

D=ダニー・ウィットワー、J=ジョン・アンダートン

D:
The oracle isn't where the power is, anyway.
The power is always with the priests,
even if they had to invent the oracle.
字幕:‘聖域’を司るのは‘ご宣託’ではなく、いつの場合も‘聖職者’だ

この訳だと最後の1文の意味がすっぽり抜け落ちてると思うのです。
そしてその1文こそ、この物語の核心を突く台詞であり、この段階でダニーがこの台詞を言う事にはかなり重要な意味があると思われるのですが…

全文訳:
いずれにしろ宣託は力の拠り所ではない。
力は常に聖職者と共にある。
たとえ彼らが宣託をでっち上げなければならなかったのだとしても。
(invent:発明する、考案する、でっち上げる)

「力は宣託ではなく、それを操る聖職者にある。いつの場合もね。」

〜この後ジョンと部下のやり取りがあり、部下たちが部屋を出て行く〜

D:
Sorry.Old habit.
字幕:すまん、悪い癖でね

謝ってはいるけどダニーは「悪い癖」だとは思って無いような(笑)

「すまん、昔の癖だ」

D:
I spend three years at Fuller Seminary
before I became a cop.
My father was very proud.
字幕:調査官になる前3年間父の意向で神学校に

ここから幾つかのダニーの台詞の日本語訳が、原文と違うように思います。
何か、ダニーのキャラクターに関する、私達には公開されて無い‘隠し設定’みたいなものが存在するんでしょうか。
「父の意向で」神学校にいった、とはダニーは言って無いと思う。「父は随分自慢していた」とは言ってるけど。後の字幕で、ダニーのお父さんがダブリンの司祭、ということになっているので、「父の意向で」ということになったのでしょうか。
それとは別にもう一つ、明らかに間違いが。
現在のダニーの身分は司法省の調査員ですが、ここでは彼は「調査官になる前に」ではなく「警官になる前に」と言っています。かなり後になりますが、彼は、司法省の調査員になる前に、殺人課にいた、と言っているシーンがあります。
つまり、この台詞とあわせると、彼の経歴は、神学校→警察(最終的に殺人課)→司法省調査員、となる訳です。
調査員だの警官だのとややこしいから端折ったのかなあ、とも思いますが、後の台詞と齟齬を来してるのは確かです。
*****************
参考までに↓
殺しの現場で:D=ダニー、F=フレッチャー
D:What kind of cop where you before this?
字幕:君 経歴は?
F:Treasury agent,8 years.
字幕:財務省出身
D:This will be your first murder scene?
字幕:殺しは初めて?
F:Yeah
(日本語字幕無し)
D:I worked homicide before federal.
字幕:おれは殺し専門だった

あ、今気が付いたけど、ダニーたっらフレッチャ−相手に「おれ」なんて言ってる(笑)何があったんだ君たち(笑)。
******************

ところでここの3行の台詞ですが、最後の1行は少し間を置いてから言ってるので、それは別の字幕にした方がいいような気がするんですが。それで字数が多過ぎるなら、フレッチャーの「8年間」も無視してるんだから「3年間」を省くとか。

全文訳:
警官になる前の3年間をFuller(学校の名前?)神学校で過ごした。
父は随分自慢していた。

「警官になる前(3年間)、神学校にいた」
「父はそれを自慢にしていた」
もしくは
「警官になる前は神学校に居た。父の自慢だった」

J:
What does he think of your work?
字幕:父上は 今 何と?

「今の仕事を父上は何と?」

D:
I don't know.He was shot and killd
when I was 15 at our church in Dublin.
字幕:ダブリンの司祭だったが暴動の犠牲に

この台詞の字幕なんですが、ちょっと判らない。
なんで司祭になってるんだ、ダニーの父さん。「our church」だから?でもキリスト教って、特にカトリックって教区が決ってて、信者は自分達の教区の教会の事を「our church」って言うと思うんだけど。
しかも暴動って?父=司祭って設定したから、司祭が殺されるような事態と言えば暴動だろう、ということなのかしら?それともやっぱりダニーの隠し設定があってそこにそう書いてあるのかしら。
あ、もしかして、原作ではそうなってるのかなあ?…原作読まなきゃ…
私設定では、こんな感じ。(また勝手に…)
ダニーの父は熱心だが普通の信者で、神学校に入った息子をとても自慢に思っていた。しかしある時あろう事か教会で兇弾に倒れる。父が教会で殺された事でダニーは神学校を卒業後、警官になり、やがて殺人課の敏腕刑事に。そして司法省の調査官に抜擢される。
なんか、ちょっと斜に構えた一途さが、これだと納得いくんだけど(笑)。

全文訳:
判らない。彼は僕が15の時にダブリンの教会で撃ち殺された。

「さあね。ダブリンの教会で撃ち殺された。僕が15の時に」

D:
I know what it's like to lose someone close.
字幕:愛する者を失うのは悲しい

全文訳:
近親者を失うというのはどういう事かを僕は知っている。

「愛する者を失った気持ちは判る」

D:
Nothing's like the lose of a child.
字幕:特に我が子の場合は…

全文訳:
子供を失うというのは特別だ(何にも似ていない)。

「特に我が子を失うというのは」

D:
I don't have any children, so I can only imagine
what that was like.
字幕:僕は子供がいないので想像だが—

全文訳:
僕は子供をもっていないので、それがどのようなものか想像するしか出来ないが。

「僕は子供がいないので想像するしかないが」

D:
To lose your son in such a public place like that—
字幕:人の大勢いる場所で 息子さんが…

ジョンの過去に何があったのかはっきりさせた方がいいような気がするので「誘拐」という単語を使った方がいいような気がするんですが、ダニーのお父さんを勝手に司祭にした割にここはそういう事はしないんですね。

全文訳:
あのような公共の場所で息子を失うというのは…

「あれほど人のいる所で息子さんが誘拐された…」

D:
Now we can make sure that kind of thing doesn't
happen to anyone.
字幕:犯罪の防止のためにも…

なんかこの辺、「出た−、戸棚訳〜」って感じですよね(笑)
なんのこっちゃ判らん(笑)
前の「宣託」発言といい、ダニーが何を疑っているのか、ここでもほのめかされていると思うのです。
防ぐ、でなくて、起こさせない、という言い方にそれが出ていると思うんですが。
でも「起こさせない」ってちょっと変な日本語かな。どうなんだろう。

全文訳:
今はそのような事が誰の身にも起こらないようにする事ができる。

「今ならそんな事は起こさせない」


J:
(?聞き取れず:英語字幕にも無し)
Tell me exactly what it is you're looking for.
字幕:そんな話より 何を探してる?

台詞の最初が字幕にも無いし聞き取れなかったんですが、「何の話だ」みたいな感じでした。

全文訳:
君が何を探しているのかはっきり私に言え。

「何が言いたい。何を探してる?」

D:
Flaws.
字幕:欠陥を

「欠陥だ」

J:
There hasn't been a murder in six years.
Nothing wrong with this system.
It is...
字幕:この6年間 殺人事件ゼロ

全文訳:
この6年間殺人事件は起こってない。
このシステムに間違いは無い。
これは…

「この6年間 殺人事件ゼロ。このシステムは…」

D:
Perfect. I agree.
字幕:そう 欠陥があるなら—

この台詞は、直前の台詞からの流れでジョンが「(このシステムは)完璧だ」と言う、その「完璧だ」に合わせて、ダニーも同じく「完璧だ」と言うんですよね、それがすごくいい感じなので是非「完璧だ」というのを字幕にして欲しかった。

全文訳:
完璧だ。その通り。

「完璧だ。もし—」

D:
If there's a flaw, it's human.
字幕:システムでなく 人間にある

全文訳:
もし欠陥があるなら、それは人間だ。

「欠陥があるなら、人間にある」

D:
It always is.
字幕:いつもそうだ

「いつだってそうなのさ—」

D:
John
字幕:じゃあ

「じゃあ」って。「じゃあ」ってなんだー。せっかくダニーが思い入れたっぷりに自分はお前を疑ってるんだぜ、って、名前を呼んでるのに。

「ジョン…」


ええと、なんだかごちゃごちゃして判り難くなったので、表に纏めてみました。
これ
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by radwynn | 2004-05-09 18:23 | Movie
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