『S.A.S.英国特殊部隊』を観ててふとおもったんですが、TVドラマであるという制限もあってか、扱われ方が、S.W.A.T.っぽいですよね。S.W.A.T.はアメリカの警察組織の中の特殊部隊です。S.A.S.は、もちろん、‘軍隊’です。
その‘軍隊’としてのS.A.S.についてちょこっと調べて纏めておきます。 …またもや自分自身の覚書のためです。 それと、幾つか疑問点が。教えて偉い人。 英国陸軍特殊空挺部隊 S.A.S.(Special Air Service) 〔創立〕 第二次世界大戦中、「敵戦線後方突入」戦術に特化した部隊として創設される。 特殊部隊としては世界初、つまり他国の特殊部隊はS.A.S.をモデルとして創られた。 「敵戦線」の「後方」に「突入」するってどういうこと?って最初はよく判らなかったんですよね。「前線」に「突入」するんなら判るけど、って。つまり、前線のはるかに奥、敵地に侵入して、敵の補給線、ライフラインを断つ、ということなんですね。 古くは三国志の時代から、「補給線」の確保は戦略の基本、これを確保できない場合はその戦いは放棄せよ、ってぇくらいの重要なものですから、補給線を断つってのは、最前線の戦局の如何にかかわらず、それを成功させればその戦いは勝ったも同然、ってことです。 そんなことならどの軍隊もその戦術を使えばいいやん、って思うところですが、補給線を断つ、ってことは、補給線があるところまで行かなきゃいけないわけで、それって何処かっていうと、敵陣奥深くなんですよね。そんなところまで侵入して、破壊工作を行って、己の陣地まで戻らんといかんのです。最前線で戦ってるなら、退却すればすぐに自分の陣地に逃げ込めますが、敵地から帰還するには、敵最前線を逆から突破しなくちゃいけないんですよね。…よく考えると(考えなくても)むちゃくちゃですよね。誰もやろうとしない訳です。 ところがこれをやっちゃったのが、S.A.S.だった。と、こういうことになるんですね。…バカだ。としか言い様がない…。 第二次世界大戦中はこの戦術でドイツ軍を大いに苦しめたそうです。 〔部隊構成〕 現在活動中のS.A.S.は第22連隊(Regiment)。 連隊はA,B,D,E,R,の5個の戦闘中隊から構成される。(但しR中隊は予備役元SASによって構成されているので実際の活動部隊は4個中隊) 1個中隊は空挺・機動・舟艇・山岳の4個小隊から編成される。 1個小隊は士官1名、戦闘員15名の16人で構成される(但し欠員も)。 上記通常部隊とは別に、対テロ活動に特化したCRW(Counter Revolutionary Warfare:対革命ゲリラ戦闘)中隊が存在する。 その他、管理中隊(情報班、行政班、整備班)、通信中隊など。 ドラマで取り上げられているのは、このCRW中隊、なんですよね? CRW中隊の構成も他の中隊と一緒なのかなあ? ドラマの中の、ドッツィー中尉とレッドチーム+ブルーチームは、このCRW中隊の中の1個小隊、ってことなんでしょうね。 他にも小隊は存在しているけどややこしくなるから彼らだけしか居ないみたいに作ってるんだろうな。 〔活動〕 1960年代…北アイルランド紛争、IRAに対する対テロ部隊として投入、CRW中隊誕生。 1980年…駐英イラン大使館篭城事件にCRW部隊投入。 1982年…フォークランド紛争、S.A.S.分隊4名の単独潜入による情報収集。 1991年…湾岸戦争(『ブラヴォー.・ツー・ゼロ』はこの時の事実に基づくドラマ) 1995年…コロンビアの軍人誘拐事件に投入。 1995年…NATOによるセルビア空爆作戦に投入、地上でのターゲット指示に従事。 現在混乱を極める中東にも、もちろん投入されています。2004年には投入人員の増員を要請されていて、新中隊の設立も検討中だそうです。 また、最近、元S.A.S.隊員による著作や、元S.A.S.を騙る暴露本などが多数出版され、S.A.S.ではその対処に追われてたりするようです。TVドラマもそのひとつだよね、って思うと(「ブラヴォー・ツー・ゼロ」の生き残り、クリス・ライアンが監修に参加してる)、ちょっと複雑な気分。S.A.S.内部についての記述を行った元隊員は、現在、S.A.S.内部への立ち入りが禁止になっているそうです。そりゃそうだよね、軍なんだから極秘事項だらけだよね、しかも特殊部隊なんだからさ。なんかSAS内部のことを報道した新聞社が「我々の報道によって少しは透明性が増した」とか言ったそうだけど、増したらこまるじゃん、切り札なのにさ!(笑) でもTVドラマは面白いし、本にもハマったよなあ…うーん、アンビバレンツな気分。
by radwynn
| 2005-09-26 10:28
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