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『ゴッド・ディーバ』

原題:『IMMORTAL AD VITAM』
監督:エンキ・ビラル

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フランス・コミック界の鬼才が己の漫画を映像化した究極の自己完結映画。えーと、日本で言えば押井守ですか。あ、押井は‘自身の原作’が映画以外の作品である、ってのは殆ど無いから、そういう意味では押井より自己完結してるのか!凄いや(どこに感心してる)。
もうね、大好きです、こういうテイスト。判るやつだけついて来い、楽しめるやつだけ楽しんでくれ。押し付けがましくなく主義主張も声高には語らず、さり気なさはBGMの如し。
禅問答みたいな映画でした。原作を読んでないから、元々がどういう話だったのか知らないのですが、少なくとも映画のストーリィは極端に単純化され、一つの大きなストーリィというよりは個々の登場人物の個々の物語が織り合わさっていつの間にか終演へ向かっている、っていうような印象でした。
‘謎’など最初から無く。‘破滅’も‘救済’も関係なく。‘ヒーロー’も居らず。‘善’と‘悪’さえ意味を持たず。存在するのは‘意志’だけ。
宇宙を描きながらさえ、の、あの閉息感は、ヨーロッパ特有のアンニュイからくるものなんでしょうか。『ブレード・ランナー』さえも、この映画に比べれば「広い世界」と思わせるその閉じた世界、その退廃的な色っぽさ。
主人公、と思しき青年の、投げ出されたような拗ねたようなそれでも残ってる使命感、それだけが辛うじて私達の世界と繋がってる共有出来る感覚。後はもう全てが一般常識の外。これぞ、‘SF’。説明出来ないものが説明もされないまま存在する。
エジプトの神々、の、ようなもの、が登場しますが、別にエジプト神話を知らなくても、この映画本編の鑑賞にはまったく支障はありません。「頭が動物で身体が人間のエイリアン」と思っても、特にスト−リィ上の理解の妨げにはならないでしょう。
しかーし。知ってれば萌えます(笑)、「あのジャッカル(アヌビスのこと)の名前を口にするな!」。やだなあもうホルスったらうふふ(何が見えてるんだあんた!)。
このエジプトの神々の造型はなかなか素敵でした。石像がそのまま生命を得て動いて居るような質感。まさに‘異質’の存在であるのが、CGによって映像としてはっきり判る。
反対に、幾つかの登場人物のCGがチ−プなのが鑑賞時にはちょっとひっかかりました。が、考えてみるとコミックの映像化、という意味ではあのチープ感が最適なのかも知れない。またCGでありアニメーションであるというところから来るコミカルさが、恐らくは原作の色に近いのでは無かろうか、とも思います。
あー、原作の漫画読みたい!(読めるのか。フランス語じゃないのか。あ、英訳のが出てるのかな?)
by radwynn | 2004-05-04 21:26 | Movie
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