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『テッセラクト』

原題:『THE TESSERACT』
監督:オキサイド・パン
出演:ジョナサン・リース=メイヤーズ

公式サイトはこちら

テッセラクトとは「四次元立方体」の意。
あおり文句だけしか情報を入れて無くて、すっかり、物凄く不可解な理解不能の事件に巻き込まれるイギリス人の話だと思い込んでました。
違ったです(笑)。
話自体は、今までも、これからも、タイという街で起こり得るだろう事件で、特に目新しさはありません。監督のオキサイド・パンは、『レイン』の監督ですので、そういう話として普通に見れば、それなりによく出来た映画だしそれなりに面白かったと思います。
しかしあおり文句で言ってる程の事はないんじゃないかなあ。
何がキモかっていうと、映像の時間軸と視点を一定に保たずに、複数の登場人物を各々に中心にして視点と時間軸を少しずつ変化させて何度も繰り返し映し出し、‘その時間、実は何が行われていたのか’を、少しずつ明らかにして行く、っていう構成なんだけど。
どっかで見たなあ、と思ってたら、あれでした、ほら、ネスカフェのCM!最初のCMで、表通りをお神輿が「わっしょいわっしょい」と通って行く、どこかでカラン、と氷の鳴る音がする。次のCMでは、家の中でアイスコーヒーを作っていて、窓の外を神輿が通るのが見える、コップの中で氷がカラン、と音をたてる。ああ、さっきのCMで聞こえた氷の音は、これだったのか、と気がつく。
まったく、このCMのまんまだわ(笑)。
『21グラム』でも同じ構成を使ってましたが、あれはもっと、何と言うか、頭がぐらぐらしました。時間も場所も無視した構成の、切り刻まれた場面の現れる唐突さは、『テッセラクト』の比じゃなかった。
それを思うと、すごく判り易い映画でした、これ。ストーリィにもなにも謎は無いし。むしろ変な構成にしなかった方が、良い映画になったんじゃないかしら?(笑)

とにかく、ジョナサン・リース=メイヤーズは美しかったです。美しいものをただ映すだけで、‘映像’というものは成り立ってしまうのだなあ、と思いましたよ。
あの、コーヒーショップのシーンの、ジョナサン・リース=メイヤーズの、顔、むしろ、目。あれだけを延々撮り続けても、映画になるんじゃなかろうか。もしかするとそれこそ、四次元な映画に。呑み込まれそうだ。
by radwynn | 2004-08-19 09:11 | Movie
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